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英国の国民投票の離脱派勝利のニュースは直近の世論が英国のEU残留に傾いていた分大きな驚きでもって迎えられました。英国のEU離脱派勝利の報道によって株価は英国の株価指数のFTSE100種先物は一時9.7%の下落、日経平均株価は24日の終値で9.4%の下落と16年ぶりの下げ幅を記録しました。為替も円が対ドルで一時99円台まで円高が進み対ポンドも一時133円台を付けるなど非常に荒い値動きを見せました。

この株価と為替の値動きに対して金価格も上昇し、円建て金現物市場取引サービスを提供するブリオンボールト・サービスでも最大で3.1%の上昇を見せました。
 

24日のブレクジットによる混乱で安全資産とされる金のブリオンボールト・サービスにおける円建て金の価格は最大で3.1%上昇し米ドル建て価格でも6.5%の上昇を見せました。6月の雇用統計の低調さから米国の利上げに対する慎重姿勢は強くさらに今回の英国のEU離脱問題によって欧州の当面の混乱は避けられず新興国の旗手である中国景気も減速し不透明な情勢であることから投資家のリスク回避姿勢はしばらくの間続くことが予想されます。

当面のマーケットの動きとして安全資産とされる金および円が投資資金の逃避先となる可能性が極めて高く、投資家のリスク回避姿勢によって上昇する金を割安に円建てで買い、下落する他通貨で売って利益を確定させる“金価格の上昇+為替差益”の二重の恩恵を受ける取引が増加することが考えられます。

過去に安全資産とされる金と円を巡る動きとしては過去には2011年のギリシャの債務問題に端を発した欧州の不安によってに金は1トロイオンスあたり1900ドル近くまで上昇し史上最高値を付けたのと歩調を合わせるように円も一ドル76円台まで上昇した経緯があるほか2008年のリーマンショック後にも金と円は同時に上昇を見せました。今回のブレクジットによる市場の混乱はこの二つの大きなできごととの共通点が多く指摘されていることもあり同様の動きが見せる可能性は高いと言えるでしょう。

-過去の金の上昇局面-
ソ連のアフガニスタン侵攻(79年)、ブラックマンデー(87年)、湾岸戦争(90年)、米同時多発テロ(01年)、リーマンショック(08年)、ロシアのクリミア編入問題(14年)など歴史的なトピックの度に金の価格は上昇を見せてきた。特にアフガン侵攻の際には一か月で2倍近い価格の上昇を見せ国際情勢への不安から資金の逃避先として注目されたことから”有事の金”として認知されるようになりました。