iPhoneリサイクルロボット、リアム

 先日、アップル社の本国サイトにて「Environmental Responsibility Report」(2016環境責任報告書)が公開されました。CSR活動、下請け会社を含むCO2の排出量削減、ソーラー発電の活用などなど、内容は盛りだくさん。なかでも気になったのはリサイクルの項目でした。

iPhoneリサイクルロボット、リアム

iPhoneリサイクルロボット、リアム

 アップル社の本社では雨水を集めているだけでなく近郊都市、サニーヴェイルの再生水を敷地内の庭や芝の散水に活用しているそうです。また、iPhone SEの発表の際、年間最大120万台のiPhoneを解体できるリサイクル・ロボット「リアム」が話題となったことが記憶に新しいです。さすがIRがお得意なアップル社と思いきや、実はかなり理に適っているんです。

 アップル社ではiPhoneのみならず、iPodやMacといった製品もリサイクルしています。リサイクル自体はどこのメーカーも取り組んでいることですが、これほど詳細に報告書にまとめているメーカーも少ないでしょう。リサイクルの大義名分は資源の有効活用ですが、それは同時に利益にもつながるウィン・ウィンな関係にあるようです。

 昨年、アップル社では約2万8000t分の製品がリサイクルされたそうです。鉄は約1万トン、プラスチックは約6100t、ガラスは約2000t、銅は約1300t、コバルトは約86t、ニッケルは約18t、鉛は約20t、亜鉛は約59t、錫は約2t、銀は約3t、そして金は約1tを回収。金だけでも単純計算で40億円強です。こうして数値で示されると、説得力がありますよね?

 言ってしまえば廃棄物であったものから、金の抽出だけで40億円強って凄いですね。ちなみにスマートホン1台あたりに使用されている金は30mg程度だそうです。まさに塵も積もれば、ってやつですねぇ。もちろん、リサイクルにあたってはそれなりの設備投資、外注費用が発生しているのでしょうが、単純に金のリサイクル量だけ見るとアップル製品の値下げにつなげて欲しいと思ってしまうのは・・・、筆者のわがままなんでしょうね。

アップル社「Environmental Responsibility Report」(2016環境責任報告書)

アップル社のリサイクル・ロボット「リアム」