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皆さんは金を買ったことがありますか?
こう聞くと、おそらくほとんどの方が買ったことはない、もしくは宝石の一部やネックレスとしてなら買ったことがある、とお答えになるのではないでしょうか。実際に金を投資としてみる向きはまだまだ日本では少ないといってよいでしょう。しかしながら、世界が内向き志向にあり、今後どのようなことが起こってもおかしくはない世界情勢となる中で、本当に金を投資として考えなくてもよいのか?と感じる機会が増えてきています。そこで、資産運用専門であるFPとして、どのように金の投資を考えていけばよいのか、解説していきたいと思います。

■長期投資目線でまずは考える
金投資というと、いざという時に備えて投資するイメージが強いのではないでしょうか。まさにその通りといえますが、いつそうした事態が起きるかは誰も予想することができません。そのため、長期的に見てどう捉えていくべきか、短期ではどうなのか、目線を変えて考えていく必要があります。例えば、100年や200年といった長い期間で金価格の動きを捉えた場合、物価上昇分には対応していますが、金は利息を生まないといったデメリットゆえ、株式のような大きなリターンを得ることには至っていません。実質的な価格維持をできることが金のメリットといえるのです。つまり、物価が上昇しているときには金で持つ意義があることが中長期的な視点からは説明できるといえます。仮に数十年といったスパンで金投資を検討する場合には、その間に金の需給や物価変動、為替による価格変動が起こり得ます。しかしながら、いつ何時どのように価格が変動するかはわかりません。そこで、基本的には実質価値が維持できる点を主軸において、積立投資による時間分散を図ってみてはいかがでしょうか。
例えば、月に1万円でも構わないと思います。もちろん、まとまった資金で一括購入しその後寝かせておくでも構いません。そして、最終的に金価格が上昇し、満足のいくリターンとなった場合や、実質価値がしっかり維持でき価値を保全できた場合には売却するといった目標がよいのではないでしょうか。時間分散による投資は、いつ何がわかるか先が読めない場合に、安いときに多く買い高いときに少なくしか買えないものの平均購入単価を抑えることができる点に利点があります。手数料の安いブリオンジャパンで購入すれば、その効果は大きいと思います。実行を検討してみてください。

■短中期投資目線のケース
それでは、短中期の場合にはどう考えていけばよいでしょうか。短中期の場合にはいかに安い局面で購入できるかが大きなポイントになります。例えば、世界を見渡して金利が上がる傾向にある場合、中国などの新興国における金(宝飾品)の需要が減少している場合、戦争や危機などの世界情勢が解決の方向に向かい安堵感が漂っている場合。こうした場合には、金価格は下落するおそれがあります。そうした下落局面が一時的かどうかを見測ることができるかどうかが大きなポイントといえますが、昨今の世界情勢では簡単には解決しないケースが多いため、一時的に下落し、また元に戻る可能性は十分あるといえます。そうした局面を狙って金を買い、価格が元に戻った局面で売却する、いわば短期売買を行った方が得策といえます。
なお、金の売買は、株式と異なり一日に何十%も変動することは稀です。そのため、数週間や数か月で10%上昇などを目標に売買していくとよいのではないでしょうか。

■ポートフォリオの中に金はどのぐらい含めるべきか?
次に、資産の組合せであるポートフォリオをどう構築するかを検討していきましょう。金はどの程度入れるべきだと思いますか?これも決まった回答はありませんが、平常時の場合には資産の5%前後を組み込んでおくとインフレ対策などの効果として発揮できるかもしれません。一方、戦争などの地政学的リスクが高まった場合には、10%や20%など資産における比率を高め、資産価格の変動に備えます。地政学的リスクが高まった場合には、どの地域の話かによっても異なってきますが、一般的に株価(株価指標)は下落するのに対して金価格は上昇するといえます。そのため、他の資産の価格が下落した場合でも金価格の上昇により全体の資産価格の変動を抑えることができます。比率を機動的に動かすことがポイントです。

■金投資方法の違いを説明
最後に、金投資の方法について解説します。金投資といえば、純金積み立てのように金を積み立てて買っていく方法、まとめて購入する現物投資、投資信託で購入する方法、金貨で投資をする方法などがあります。
いずれもインフレ対策には向いているといえますが、初めての方や資産運用で着実に運用したいという方には、積立やまとめて購入する現物投資の方がよいのではないでしょうか。投資信託では通常は購入した金が手元に手に入るケースは少ないといえます。また、金貨の場合、1000万円単位などまとまった投資でないとコスト面や希少性を考慮すると利益を得るのが難しかったりします。いずれの投資方法でも構わないものの、投資のしやすさや場合によっては手元に保管ができる点などを考慮して、金現物、積立投資からチャレンジするのが無難といえるでしょう。
有史以来、金の魅力は劣らず世界で受け継がれてきました。今後も世界が成長する限り、金への投資は冷めないことでしょう。保全措置として金を投資として考えることをお勧めします。

ファイナンシャル・プランナー 伊藤亮太
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