2013年において日本国内での投資を目的とした金(現物)取引は、購入量で54,999,633g、売却量で56,545,668gであった(出典:資源エネルギー庁「貴金属流通統計調査」)。
その場合、年間の保有量増減(購入量-売却量)は△1,546,035g、流通総量は111,545,301gであり、また、2014年に入ってからも月間での購入量は2,604,287g、売却量2,467,823gと流通量に大きな変化は見られない。
2008年以降、日本国内における金投資は順調な推移を見せており、これはこの年に起きたリーマン・ショックによる銀行を中心とした金融機関への信用不安が背景にあると思われるが、しかしながら、2008年に金地金の流通総量がピークを迎えた後はその後も大きな減少はなく、他の金融資産に対してのリスクヘッジ商品としての金地金需要は底堅い。こうした傾向は今後も続くことが予想される。
日本における投資を目的とした金(現物)取引(単位:g)
購入 | 売却 | 保有量増減 (購入-売却) | 流通総量 (購入+売却) | |
2008年 | 120,082,597 | 69,445,967 | 50,636,630 | 189,528,564 |
2009年 | 75,013,618 | 47,471,143 | 27,542,475 | 122,484,761 |
2010年 | 80,602,095 | 44,248,663 | 36,353,432 | 124,850,758 |
2011年 | 102,630,839 | 50,422,695 | 52,208,144 | 153,053,534 |
2012年 | 45,819,627 | 38,351,560 | 7,382,214 | 84,171,187 |
2013年 | 54,999,633 | 56,545,668 | △1,546,035 | 111,545,301 |
2014年 | 41,886,461 | 35,599,172 | 6,287,289 | 77,485,633 |
さらに、上記の日本国内における金地金(現物)の投資流通量をみると、2008年に1.9億gと大きく流通量が増大した後の数年は安定して推移していた年間投資流通量が2012年頃から比較的弱腰となり、毎年連続して大きく買い越していた取引額も大きく減少、一定の迷いを残しながらも金地金(現物)以外の資産へ投資マネーが流出していることが伺える。また、これは先物やETFの取引を含まない金地金(現物)のみを見た数字だが、全体の傾向を伺うためのものとしては十分だろう。
もちろん、今後の世界情勢によっては2008年のように一気に金に資金が流れ込むといったこともあり得る。現在の日本経済とは負の相関が認められるこの表を見る限り、日本経済の夜明けはまだまだ盤石ではない。
今後とも個人投資家には、様々な背反する性質を持った投資資産を戦略的に組み込むことで資産の保全と成長を両立させることが求められる。
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