
「株や通貨の価値はその国の国力と比例する」
というのは経済の定説ですが、この定説は今や過去のものとなりつつあります。
これには大きく分けて二つの理由があります、まず日本にも共通することですが外国人投資家の割合の多さがあげられます。外国人投資家からすると自国通貨高に伴うポンド安や円安は割安に英国や日本の株式に投資できる好機となるからです。
もう一つは日経225やFTSE100といった株価指数に組み入れられている企業は国際的に活動している企業が多く自国内での売り上げ依存度が低い、つまり海外での売上が多いのでこれも投資と同様に外国人は自国通貨が強くなることで割安に製品やサービスを購入することができるため海外での売り上げの増大が見込め株価にはポジティブに作用します。
今週末4月23日に行われるフランスの大統領選では中道派のマクロン氏と極右派のルペン氏、あるいは極左のメランション氏が直近の世論調査で決選投票に進むとみられています。
それぞれの政策を簡単に言えばマクロン氏は親EU、ルペン氏とメランション氏は右左の違いこそあるものは脱EUも辞さない構えという点では共通しています。
株価や為替のマーケットの懸念は昨年からの英国のEU離脱→トランプ大統領誕生から続く政局の大衆への迎合です。ポピュリズムともよばれるこの政治の大衆迎合の傾向は”自国優先””アンチグローバル”というわかりやすく自国民受けする政権を好むことを意味します。
この流れが継続するならフランス大統領もルペン氏が当選する可能性が高まります。その場合、ドイツと並ぶEUの雄であるフランスのEU残留に新たな条件をつけることや離脱の選択肢も現実味を帯び、EUの枠組み自体への不信感からユーロ安を招くことになるでしょう。だだしフランスの株価指数であるCAC40も英日と同様に組み入れ銘柄に国際的な企業が多く、自国への売り上げ依存度が低いために上昇することが考えられます。
中東や北朝鮮情勢が緊迫している中、弊社で取り扱う金もリスク資産として価格を上げていますが大統領選を控えたフランスの株価やユーロの動向もこの局面で注目する必要があるでしょう。