今年に入り、世界の投資家が金投資を手控える中、中国の中高年女性の金購入熱の高さが金相場を支えていることを、中国環球時報やブルームバーグが伝えている。 – 本記事はBullionVaultが執筆しています。
2011年9月にロンドンPM Fixでトロイオンスあたり1895ドルと史上最高値を記録した後、今年4月と6月に急落している。30年来の下げ幅を記録した4月の急落時には、中国における需要は急騰し、ロンドン受渡金価格との差のプレミアムが、上海黄金交易所(SGE)では60ドルとなったことをスタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏がコメントしている。
この際、中国環球時報の社説では、「中国人の金購入熱は他に投資先がないため」と解説している。ここでは、中国庶民の投資ルートは発展していないとし、そのために投資家が収益を上げることのできた唯一の分野は不動産であったものの、住宅購入規制が普遍的な政策となってからは、庶民は別の投資ルートを見出せていなかったとのこと。そのため、金価格が下落した際に、人々が金に殺到した背景はこのようなことからとのこと。
今週のブルームバーグの記事においても、安徽省在住の家政婦、ヤン・サイイェンさん(41)を、金を購入している中国の中高年女性の典型として紹介し、彼女の5ヶ月分の給与に相当する1万元(約16万4000円)の金のネックレスを購入したヤンさんの次の言葉を引用している。
「株式市場のことは分からないし、不動産を購入するほどの資金もないので、金が最も安全な選択肢だと思った。自宅に戻る時に身に着け、皆に生活が順調だと示すことができる」。
ブルームバーグの市場のアナリスト、トレーダー、金産出会社などの13社へのアンケートの中間値では、今年の中国の金需要は前年比29%増の1000トンを越えると予想している。2014年は、今年のピークから2.4%減少するものの、中国は世界最大金消費国の位置を維持し、欧米と中東の総需要量を上回ることも予想されている。
また、ワールド・ゴールド・カウンシルによると、中国の宝飾品と金地金の需要は、今年9月までの12ヵ月間に、30%増の996.3トンとなっている。この間、昨年までの世界最大の金消費国のインドは、24%増の977.6トンとなっている。
詳細情報を公開していない中国の金の需要は、香港からの輸入量などから予想されている。香港特別行政区政府統計処の発表したデータによると、今年9月までの9ヶ月間で、香港から中国本土への金の輸入量は、前年比2倍の826トンとなっている。
中国の中央銀行である中国人民銀行は、2009年4月にその金準備が1,054トンと公表して以来発表していない。今月、貴金属アナリストとして著名な、貴金属コンサルタント会社トムソン・ロイターGFMSの元アナリストであるPhilip Klapwijk氏が、CEOとして新たに立ち上げた会社Precious Metals Insightの最新レポートで、金価格が急落した2013年前半に、中国人民銀行が今年300トンの金を積み増したと分析と発表している。
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