
PRAKASH SINGH/AFP/Getty Images)
11月8日、インド時間夜、モディ印首相がTV演説で、二種類の高額紙幣の流通停止を宣言した。
実際にはモディ首相はインド標準時間の20:00にTV演説、4時間後即ち日付が変わると、二種類の高額紙幣の価値がなくなることを宣言しました。
銀行の窓口は既に閉鎖しており、またインドでのATMはそもそも1日の入金制限なども在ったが故に、かつてインドに旅行をしていたときに持っていた高額インドルピーは勿論、インド国内に在る脱税の温床とされていた高額紙幣や現金商売として用意していた正統な法定通貨も全て無効になってしまったというのが実態です。
しかしながら、この高額とは言え法定通貨の一部無効という事象を考えてみると、大きな挑戦であることがわかります。
まず、法定通貨は、通常中央銀行(インドの場合はReserve Bank of India:インド準備銀行)が発行している通貨であり、発行体である中央銀行にとっては資金調達の側面があります。即ち、中央銀行は理論上自分が発行した通貨を保有者に持ってこられた場合、それに応じて債務を支払わなくてはなりません。
これは、通常、法定通貨においては論じられない事柄なのですが、モディ印首相は、図らずしも、中央銀行の負債を、銀行に預けられていなかった高額紙幣に関しては免除させてしまったのと同じ結果をもたらします。
実は、これは先進国においても議論されている自国財政赤字をどうやって混乱なく削減するかという手法の一つで、インドのような流通停止制限の他にも、ブラジルが過去70年余りの間に8回行った通貨切下(デノミネーション)という手法の採用があります。
最近の例だと、1998年にキリエンコ露首相によるルーブル切下げが挙げられます。
また、(インド同様)海外への資金流出に悩んでいる中国も高額紙幣の停止を実施し、通貨切下げが金融市場では幾度となく噂されています。
法定通貨には、発行体や政府による一方的な宣言でその価値が(低金利環境であるにも関わらず)突如変わってしまうリスクが存在します。
そうして、そういうときに多くの方々が交換しようと殺到するのが、不動産、高級車や絵画を含む動産といった『現物資産』であったり、発行体を有さないにも関わらず流通する暗号通貨であったりします。
当社が扱う金は、当然『現物資産』である一方、各国の中央銀行も外貨準備として保有する発行体のない通貨という側面もあるので、暗号通貨との併用で資産を守るために保有するには最適かと思います。