鉱石の選別は手作業も欠かせない

 金が採れる「金鉱」と聞いて、国内の地名を挙げられるでしょうか?かつては「黄金の国、ジパング!」と呼ばれたこともあるようですが、現代人にはいまいちピンと来ない話です。でも、日本にはかつて全国各地に金鉱が存在していました。明治時代頃にはほとんどが掘り尽くされた、というのが実情のようです。また、金鉱自体は存在はしていても多くの場合、コストに見合うだけの産出量を得られない、という試算もあるようです。

鉱石の選別は手作業も欠かせない

鉱石の選別は手作業も欠かせない

 そんな背景を踏まえながらも実は今でも、商業規模で稼動している金鉱がまだ存続しているんです。佐渡島?新潟?北海道?いえいえ、実は鹿児島県にあるんです。ひとつは鹿児島県伊佐市にある住友金属鉱山株式会社の菱刈鉱山、そしてもうひとつは鹿児島県南九州市にある三井串木野鉱山株式会社の赤石鉱山です。

 なかでも菱刈鉱山は1985年の出鉱開始以来、216.7t(2015年3月時:年産約7t)の金を産出しており、日本最大の金鉱と評されています。30周年を迎えた2012年時点での埋蔵量は約150tでしたが、採掘中の鉱床の下にあたる鉱体に約30tの新たな埋蔵量を発見。およそ32億円をかけて設備投資を行い、2018年から採掘を開始する、とも発表されたことが記憶に新しいです。

 菱刈鉱山で掘り出された鉱石は敷地内で金鉱石とそれ以外に選別され、金鉱石は錦江湾の加治木港で専用船に積み込まれます。愛媛県西条市と新居浜市に位置する住友金属鉱山の東予工場(精錬所)へ海上輸送されて製品化されるそうです。なお、菱刈鉱山の金鉱石に含まれる金の割合は世界平均の約10倍と高品質。それでも鉱石1tあたり30~40gなんだそうです。また、鉱山から組み上げられる地下水は温泉で地元の湯之尾温泉にパイプラインで供給されています。金を含むともまことしやかに語られている温泉、ちょっと興味が沸きます。

住友金属鉱山株式会社2012年11月12日のプレスリリース

菱刈鉱山のココがすごい!

朝日新聞デジタルによる菱刈鉱山取材模様