「この投資話どう思う?」
金融業界に長く携わっていると友人や取引先からこういった質問をされることが金融機関にお勤めの方にはよくあるかと思います。
かく言う私も今まで幾度となくこういった相談を受けた経験があり、一緒に勧誘説明を受けたこともあります。
- 毎月固定で配当がある(なぜか月利2%というものが多い)
- まとまった金額(たいていは数千万円)を投資すると利率が上がる
- 自動的にシステムが売買を行う
- 自動売買のシステムは聞いたこともない謎のカリスマトレーダーの運用手法を採用しているか開発に携わっている
- 元本は保全されている
- 2010年ごろまではFX、11年~15年ころまでは太陽光発電事業、最近はビットコインなどの暗号通貨が投資対象になっている場合が多い。
- マルチ商法・ネットワークビシネス的な勧誘が行われる。
- 出資勧誘は主に会社経営者や富裕高齢者が対象となる
ハッキリ申し上げて投資話の中にこのいずれかのキーワードが含まれていれば99%詐欺です。しばらく配当があったあと何の前触れもなく謎の巨額損失を被って元本は戻らないと考えてよいでしょう。
さらにこういった怪しい商品は必ずと言っていいほどマルチ商法を得意とする営業マンが持って回っていることも大きな特徴です。彼らは売って手数料をもらうだけでそのあとの運用には関わらないので無責任な甘言で巧妙に出資者を勧誘します。むしろ無責任だからこそなんでもいいこと言えるわけです。殺し文句の“確実”や“安全”、“保証”といったキーワードを勧誘時に使用することはすべて法律に抵触します。
投資運用に携わった経験があれば簡単にわかることですが安定的に利益を出すことは大きく単発で利益を稼ぐことの何倍も難しく、毎月安定的かつ確実に利益を出すことなどウォーレン・バフェットでも不可能です。
カリスマデイトレーダーはわざわざ自分の手法を他人に公開するリスクを負いません、そもそも十分に潤っているからカリスマなわけであってそんな人がなぜ他人の面倒まで見るボランティア精神が生まれるのか?という根本的な謎が残るわけです。
さらに、マルチ商法の営業マンは投資額の3割から5割分の手数料を投資段階で受け取るケース(出資者には表向き伏せられていることが多い)がほとんどなのでそもそも半分の元本を満期までに倍に戻しつつ毎月配当をするなど構造的に成り立たないのです。極端な話スリーピースのスーツを着ている人間の話は全部詐欺だと思っていいくらいです。
“ビットコインは確実に儲かる”
みたいな勧誘をされた方は「ぶっちゃけた話その商品を売ったらいくら貰えるの?」とでも聞き返してあげましょう。
※筆者はビットコインを絡めたマルチ商法的な金融商材には否定的な見解を持っていますが投資対象自体に罪はなくビットコインをはじめとしたブロックチェーン技術の発達と拡大について大いなる可能性を感じています。